まず、2024年1月1日16時10分ごろ石川県能登地方において発生したマグニチュード7.6、震度7の地震により尊い命を亡くされた方々のご冥福をお祈りすると共に、そのご遺族に哀悼の意を捧げます。
さて、筆者も1995年1月17日午前5時46分に発生したマグニチュード7.3、震度7の被災者であり、居住住居も大きな被害を受けましたが、幸い家族にも怪我はなく幸運でした。
しかし、当時一番困った事は、やはり水の問題と電気でした。
特に人間、水が無ければ1日も生きて行けず、近くのコンビニに走った時には既にミネラルウォーターは売り切れで、ご飯も炊けないので食パンなんかを食べて凌ぎました。
ただ、前日に筆者が一人だけ入った風呂の残り湯があったので、それをトイレの流し水に使って助かりました。
その後、何日か経ってから近くの浄水場で給水支援が始まりましたが、水の尊さ有難みをひしひしと感じました。
しかし、喉元過ぎれば熱さを忘れるのたとえの通り、30年近く経った今その事を忘れかけていましたが、先日の能登地方の大地震で水の大切さを思い起こされました。
そこで、長期保存が可能な保存水とはどんなものなのか、飲んでも体に悪くはないのか、賞味期限の切れた水でも飲んで大丈夫なのか、家族4人の備蓄必要水量など、素朴な疑問について調べてみました。
保存水は体に悪い?
- 原材料は無機質の水だけで、腐敗もせず劣化がないので、体に悪いと言う事は一切ない
- 保存料や防腐剤とか、水道用のカルキ(次亜塩素酸カルシウム)など添加剤は一切含んでいない
- 加熱殺菌処理の規格が一般のミネラルウォーターよりも厳しいので安心
上記理由から保存水が体に悪い事は一切ありませんので、安心して利用されると良いと思います。
賞味期限切れの保存水は飲んでも大丈夫?
そもそも水の賞味期限とは何かと言う事から説明します。
- 保存水を含むミネラルウォーターは、基本的に腐敗する事はない
では、何故、水に賞味期限が設定されているのでしょうか、変ですよね。
賞味期限の意味
それは、ペットボトルの構造に由来します。
ペットボトルには耐水性はあり水の分子は通さないが、気体透過性があり少しずつ蒸発が起きます。2Lのミネラルウォーターなのに実容量が1.9Lと0.1Lでも減っていれば皆さん詐欺だと騒ぎますよね。
そこで、「計量法」と言う法律により、商品を販売する時には「政令で定められている量の誤差を越えてはならない」とされています。
2Lのペットボトルであれば「1%の誤差20mLの減少まで」、500mLの物であれば「2%の誤差10mLの減少まで」が許容範囲で、この計量法を守れる期限を賞味期限としているのです。
品質劣化がほとんどないミネラルウォーターの賞味期限の意味は、販売時での量の縛りと言う事です。
家庭で保管していて未開封で水の量が減っていたとしても製造メーカーには責任がなく、あくまで、販売時での量目誤差の規定と言う事です。
保存水と一般のミネラルウォーターとの違い
- 保存水と一般のミネラルウォーターの水自体は、同じ物
- その違いは、賞味期限の長さ、価格、ペットボトル自体と梱包材の構造、加熱殺菌方法にある
何か特殊な処理をされた精製水のような感じですけど、同じミネラルウォーターなんですね。
保存水の賞味期限の長さ
- 保存水の賞味期限は5年~15年
- 一般のミネラルウォーターの賞味期限は、1年~2年程度
これだけの賞味期限差がある事の理由は、価格差①②③で解説します。
価格の違い
一般市販品のミネラルウォーター2Lサイズ1本で、安ければ100円を切っているものも多数あります。
- 保存水は2Lの6本入り1箱で安くても1800円位と1本当り300円で、3倍以上の価格差があります
価格差の理由①(ペットボトル構造の違い)
ペットボトルのPETは、合成樹脂の一種であるポリエチレンテレフタレート(POLY ETHYLENE TEREPHTHALATE)の頭文字から取ったもので、耐寒、透明、耐薬品、耐水性に優れる。
しかし、
但し、開封後は外気や雑菌の侵入を許すので、その時には賞味期限は無効となり、速やかに消費すべきは一般のミネラルウォーターと同じ事です。(開けたら1日が賞味期限です)
価格差の理由②(梱包材構造の違い)
梱包用の段ボールも強度を高め、持ち運び用の手鉤穴をなくし、ボトルの損傷防止や、段積み、暗所保管が可能となるように考慮されています。
同じ水でありながら、保存に最大限留意した結果であると言う事です。
段ボールの箱に規格品はなく、その構造と品質の違いにより価格が変わってきます。
- ダンボールの厚みを表すフルート(通常5mmのAフルート、約8mmのWフルートなど)の違い
- 表面の紙の強さを表すライナー(古紙多めのC5、バージンパルプ多めのK5など)の違い
- 間の波々部分の中芯(通常は120g、箱の腰を強めたい時は160g、180gなど)の違い
これらダンボールの品質規格は、それぞれの発注先のオリジナルとなっており、構造強化の仕様により当然価格差が生まれて来るものと思われます。
価格差の理由③(殺菌処理方法の違い)
- 保存水は、一般のミネラルウォーターと違って、高度な殺菌処理方法が取られる事から価格差が生まれる
同一メーカーでも一般のミネラルウォーターと保存水の殺菌処理方法は、一例として、
- ミネラルウォーターの高温加熱殺菌は、115℃12秒間殺菌、65℃で非耐熱ボトルに充填し、30℃に冷却する
- 保存水の高温加熱殺菌は、115℃20秒間殺菌、85℃で耐熱ボトルに充填し、冷却せずに高温で長時間殺菌処理する
このような殺菌処理方法の違いからも、価格差が生まれてきます。
1人当たり1日の水の最低必要量
- 1人1日最低2L必要、推奨量は3L
健康な成人の場合、体重1kgにつき35mLが1日の必要水分量とされています。
例えば、夫婦と男子高校生と女子中学生の子供2人の4人家族の場合
お父さん体重65kg×35=2,275mL≒2.3L
お母さん体重50kg×35=1,750mL≒1.8L
男子高校生体重60kg×35=2,100mL=2.1L
女子中学生48kg×35=1,680mL≒1.7L
計 7.9L
1人平均2.0Lですが、1日の必要水分の大まかな摂取内訳は食物から25%、飲み物として75%の配分でとすると、2Lの75%=1.5Lが経口水分必要量となりますが、料理等の必要水量も考えて1人2Lあれば何とか生きて行けそうです。
最低2Lですが、推奨量はは3Lとなります。
1週間分の備蓄保存水量(家族4人)
- 2Lのペットボトル6本入りが最低3箱必要、推奨量は4箱
以前は、最低3日分の保存食料、水と言われていましたが今は1週間分の備蓄を考えておいた方が良いでしょう。
※家族4人の最低必要量と推奨量を計算してみますと、
最低必要量は、2.0L×4人×7日=56L・・・2Lのペットボトル28本≒4.7箱≒5箱があれば、家族4人が最低限1週間飲んで食べて生きられる水の量となります。
推奨量は、3.0L×4人×7=84L・・・2Lのペットボトル42本=7箱あれば家族4人が1週間飲んで食べて生きられる推奨量となります。
まとめ
- 保存水は、体に悪い物ではありません
- 保存水の賞味期限の意味は、計量法の量目誤差の縛りから来ているもので、水が腐らない期限ではなく、臭いや浮遊有機物の有無などを確認した上で問題なければ、飲んでもお腹を壊すような事はありません
- 平均的な家族4人の1週間分の最低限必要備蓄保存水量は、2Lペットボトル約28本(6本入り5箱)、推奨量は42本(6本入り7箱)です
1週間分の最低限の備蓄必要保存水の量が、4人家族で6本入りで3箱とは如何に我々の生命に水が不可欠なのかが、良くわかりますね。
災害は、何時襲ってくるかも知れません。
いざという時のために、準備だけはしっかりとしておきましょう。
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