筆者が小学生の3年か4年生の時、我が家にテレビがやって来ました。
毎日、学校の帰りに今か今かと待ち遠しく、テレビが来た時には嬉しくてたまりませんでした。
当時は、医者の家か裕福な家庭にしかなかったテレビが来た喜びは子供心ながら今でも忘れられません。
会社でのオフコン導入初期には、ブラウン管式のディスプレイが当たり前で、その図体の大きさも今となっては懐かしい思い出です。
液晶ディスプレイの前時代を担ったのがブラウン管であり、その大きさを表す物差しが当時から全く変わらない事を、その成り立ちから分かり易く解説します。
ディスプレイの大きさを表す対角線長の起源
昔のディスプレイは、現在の液晶ディスプレイのような四角形ではなく球形だった為、円形の大きさを表す「円の直径」又は、「円の半径」で表現するのが適切だったからです。
円の直径と言うものは、円に内接する四角形の対角線長と同じですから、ディスプレイにおいてもその大きさを表すのに対角線長を指すのです。
簡単に図示すると下記のようなイメージです。
これが同じインチサイズのディスプレイでも縦横比の違い(4:3とか16:9とか)がある理由です。
では、何故ブラウン管は円形だったのでしょうか。
ブラウン管の形状と原理の解説
ブラウン管の事をCRT(cathode-ray tube : カソード・レイ・チューブ=陰極線管) と言います。
昔のディスプレイの事をCRTと言っていた事を記憶されている方もいらっしゃると思います。
ブラウン管の名称は、発明者のドイツのカール・フェルディナント・ブラウンに由来し、1897年に発明されました。
その大まかな形状の理由と原理を次に述べます。
ブラウン管の形状の理由について
テレビ後方の陰極線管から照射される電子ビームの照射距離を均一にするため、丸みと球体にする必要があったからです。
そのため、昔のブラウン管テレビは円形で更に四隅も三次元的に丸みを帯びたものでした。
ブラウン管の原理について
ブラウン管構造概略図
ファンネル(漏斗)と呼ばれる真空管内で、電子銃により電子ビームを発射する。陽極に印加された高い電圧により電子は加速され、蛍光物質を塗布した蛍光面に衝突し発光する。電子ビームは、電界または磁界により偏向され、蛍光面を走査する。偏向するための電磁石のことをヨーク(yoke、ヨークコイル)と言う。
出典:ウィキペディア
ブラウン管は大きな真空管のようなもので、何故真空なのかと言うと空気中では空気に存在する分子に衝突して電子銃から発射された電子ビームが前面の蛍光面に達する事が出来ないためです。
印加とは、電気回路に電圧や信号を与える事を言います。
ブラウン管の歴史
日本の高柳健次郎博士が1927年に世界で初めてテレビ受像装置の開発に成功されました。
その時の映像がカタカナの「イ」だったのは、有名な話ですね。
1897年 – ブラウンが陰極線管を発明。
1907年 – ロシアのボリス・ロージングがブラウン管を使った受像装置を発案。
1925年 – イギリスのジョン・ロジー・ベアードが円盤を使ったテレビを発明。
1927年 – 日本の高柳健次郎が撮像に円盤を使い、映像にブラウン管を使った受像装置までの開発を成功。
1927年 – アメリカのフィロ・ファーンズワース、電子式テレビ撮像機の開発。
1934年 – ドイツでテレビ放送が開始。世界最初のテレビ局はパウル・ニプコウ。
1967年 – ソニー、トリニトロンを開発。
1990年 – ソニー、ハイビジョンブラウン管テレビ (KW-3600HD) を発売。
1996年 – ソニースーパーフラットトリニトロン管を採用したテレビ受像機を発売。
2008年 – ソニー、トリニトロン生産を終了。
2015年 – シャープ、フィリピンでのブラウン管テレビ生産終了。出典:ウィキペディア
まとめ
昔のテレビは確かに四隅が丸く、おまけに球体のような感じでしたね。
その円形の大きさを表すには円の直径であり、円に内接する四角形の対角線長だった事は、至極当然の成り行きだったのでしょう。
その名残りと必然性が液晶ディスプレイ全盛の現在も続いている事を、この記事を見てご理解頂ければ幸いです。
尚、1インチから30インチのインチ関連記事については、下記からご覧下さい。
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