筆者が自作PCで初めて使用したのが120GBの2.5インチSSDで2013年4月でした。
当時はその容量が世の中でメインでしたが、2021年現在では1TBのSSDも平気で使われるようになり、技術とコスパの進歩には只々驚くばかりです。
ただ、SSDの容量も120GB、250GB、500GB、1TBクラスなどがあり1TBクラスなどは今でも12,000前後と安くなったとは言え、本当に必要かどうか判断材料が欲しい所です。
そこで、ここでは一般的なSATA接続SSDのおすすめの容量を信頼性と耐久性のコスパによる総合コスパからどのクラスの容量が良いか、お伝えして行きたいと思います。
おすすめの容量
まず、最初にお断りしておきます。
信頼度コスパの単位は(5年信頼度%/1000円)、耐久性コスパは(書き込み耐性TB/1000円)なので、単位が違うそれら数値を足すことはおかしいかも知れませんが、分母の1000円当たりは共通なので、総合コスパは客観的な合計数値の大小の比較と考えて頂ければと思います。
総合コスパによる、おすすめの容量は
- 一般的な用途であれば500GBクラス
- ゲームなどの大容量プログラムサイズ用途であれば、1TBクラス
この2つですね。その理由を掘り下げとして以下に容量クラス別の信頼性、耐久性コスパ及び総合コスパ一覧表を示します。
120GBクラス
- 余りおすすめ出来ません。
このクラスは既に選択肢が少なく価格が安くなった結果だけによる信頼性コスパが高い製品であると言う事であり、更に耐久性は100TB未満と500GBクラスの1/4以下と現在の品質クラスとしては低いからです。
120GBクラスSSD総合コスパ(信頼度コスパ+耐久性コスパ)比較表
順位 | 1 | 2 | 3 |
---|---|---|---|
メーカー名 | Crucial | PLEXTOR | INTEL |
容量 | 120GB | 128GB | 128GB |
平均故障寿命 MTTF(時間) | 1,500,000 | 2,500,000 | 1,600,000 |
MTTF(年) t= MTTF/(365*24h) | 171.2 | 285.4 | 182.6 |
故障率(%) λ= (1/MTTF(年))*100 | 0.5841 | 0.3504 | 0.5476 |
5年信頼度(%) R=(e^(-λ/100)*5)*100 | 97.122 | 98.263 | 97.299 |
総書き込み可能 容量TBW(TB) | 40 | 70 | 144 |
価格 | 3,449 | 5,000 | 22,698 |
信頼度コスパ (%/1000円) | 28.16 | 19.65 | 4.29 |
耐久性 コスパ(TB/1000円) | 11.6 | 14 | 6.34 |
総合コスパ (1000円当たり) | 39.76 | 33.65 | 10.63 |
250GBクラス
- これもあまりおすすめ出来ません
このクラスは、現状ではボトムクラスであり、5年信頼度は他の上位クラスと大差がないものの、耐久性コスパは500GBクラスの1/2ほどなので、あまり得策とは言えません。
250GBクラスSSD総合コスパ(信頼度コスパ+耐久性コスパ)比較表
順位 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
メーカー名 | CFD | SanDisk | WesternDigital | PLEXTOR | Crucial | SAMSUNG | INTEL |
容量 | 250GB | 250GB | 250GB | 256GB | 250GB | 250GB | 256GB |
平均故障寿命 MTTF(時間) | 2,000,000 | 1,750,000 | 1,750,000 | 2,500,000 | 1,800,000 | 1,500,000 | 1,600,000 |
MTTF(年) t=MTTF/(365*24h) | 228.3 | 199.8 | 199.8 | 285.4 | 205.5 | 171.2 | 182.6 |
故障率(%) λ=(1/MTTF(年))*100 | 0.438 | 0.5005 | 0.5005 | 0.3504 | 0.4866 | 0.5841 | 0.5476 |
5年信頼度(%) R=(e^(-λ/100)*5)*100 | 97.834 | 97.529 | 97.529 | 98.263 | 97.596 | 97.122 | 97.299 |
総書き込み可能 容量TBW(TB) | 120 | 100 | 100 | 140 | 100 | 150 | 144 |
価格 | 5,694 | 5,280 | 5,495 | 7,471 | 6,242 | 8,486 | 9,600 |
信頼度コスパ (%/1000円) | 17.18 | 18.47 | 17.75 | 13.15 | 15.64 | 11.44 | 10.14 |
耐久性 コスパ(TB/1000円) | 21.07 | 18.94 | 18.2 | 18.74 | 16.02 | 17.68 | 15 |
総合コスパ (1000円当たり) | 38.25 | 37.41 | 35.95 | 31.89 | 31.66 | 29.12 | 25.14 |
500GBクラス
- 一般的な使用用途であれば、このクラスを買っておけば後悔する事はないでしょう
このクラスは、現在のボリュームゾーンであり、製品選択肢が多いことと、1TBのトップクラスの耐久性には及びませんが、5年信頼度によるコスパや、耐久性コスパも高く一番バランスがとれた容量帯だからです。
500GBクラスSSD総合コスパ(信頼度コスパ+耐久性コスパ)比較表
順位 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
メーカー名 | SAMSUNG | CFD | WesternDigital | PLEXTOR | SanDisk | Crucial | INTEL |
容量 | 500GB | 480GB | 480GB | 512GB | 500GB | 500GB | 512GB |
平均故障寿命 MTTF(時間) | 1,500,000 | 2,000,000 | 1,750,000 | 2,500,000 | 1,750,000 | 1,800,000 | 1,600,000 |
MTTF(年) t=MTTF/(365*24h) | 171.2 | 228.3 | 199.8 | 285.4 | 199.8 | 205.5 | 182.6 |
故障率(%) λ=(1/MTTF(年))*100 | 0.5841 | 0.438 | 0.5005 | 0.3504 | 0.5005 | 0.4866 | 0.5476 |
5年信頼度(%) R=(e^(-λ/100)*5)*100 | 97.122 | 97.834 | 97.529 | 98.263 | 97.529 | 97.596 | 97.299 |
総書き込み可能 容量TBW(TB) | 300 | 240 | 200 | 280 | 200 | 180 | 288 |
価格 | 7,980 | 7,009 | 6,375 | 8,333 | 6,820 | 6,979 | 32,800 |
信頼度コスパ (%/1000円) | 12.17 | 13.96 | 15.3 | 11.79 | 14.3 | 13.98 | 2.97 |
耐久性 コスパ(TB/1000円) | 37.59 | 34.24 | 31.37 | 33.6 | 29.33 | 25.79 | 8.78 |
総合コスパ (1000円当たり) | 49.76 | 48.2 | 46.67 | 45.39 | 43.63 | 39.77 | 11.75 |
1TBクラス
- 大容量のゲームプログラムを沢山入れて使いたいユーザーには、このクラスが良いでしょう
このクラスになると、高解像度・大容量のゲームを入れても余裕がありますし、信頼性コスパは価格が高い分、下位ランクの500GBクラスよりも低いですが、耐久性については500GBクラスの2倍となっていてそのコスパが500GBクラスと同等の製品が多いからです。
1TBクラスSSD総合コスパ(信頼度コスパ+耐久性コスパ)比較表
順位 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
メーカー名 | CFD | SAMSUNG | SanDisk | WesternDigital | Crucial | PLEXTOR | INTEL |
容量 | 1TB | 1TB | 1TB | 1TB | 1TB | 1TB | 1TB |
平均故障寿命 MTTF(時間) | 2,000,000 | 1,500,000 | 1,750,000 | 1,750,000 | 1,800,000 | 2,500,000 | 1,600,000 |
MTTF(年) t=MTTF/(365*24h) | 228.3 | 171.2 | 199.8 | 199.8 | 205.5 | 285.4 | 182.6 |
故障率(%) λ=(1/MTTF(年))*100 | 0.438 | 0.5841 | 0.5005 | 0.5005 | 0.4866 | 0.3504 | 0.5476 |
5年信頼度(%) R=(e^(-λ/100)*5)*100 | 97.834 | 97.122 | 97.529 | 97.529 | 97.596 | 98.263 | 97.299 |
総書き込み可能 容量TBW(TB) | 1170 | 600 | 400 | 400 | 360 | 560 | 576 |
価格 | 11,280 | 14,214 | 11,000 | 12,866 | 11,979 | 17,578 | 38,605 |
信頼度コスパ (%/1000円) | 8.67 | 6.83 | 8.87 | 7.58 | 8.15 | 5.59 | 2.52 |
耐久性 コスパ(TB/1000円) | 103.72 | 42.21 | 36.36 | 31.09 | 30.05 | 31.86 | 14.92 |
総合コスパ (1000円当たり) | 112.39 | 49.04 | 45.23 | 38.67 | 38.2 | 37.45 | 17.44 |
総合コスパ(信頼度コスパ+耐久性コスパ)比較表の説明
ここで最後のまとめに入る前に「各クラスSSD総合コスパ(信頼度コスパ+耐久性コスパ)比較表」にある数字の意味と読み取るべきポイントをご説明したいと思います。
平均故障寿命MTTF(時間)
平均故障寿命MTTF(時間)とは、一般的には機械が稼働してから故障するまでの時間、即ち寿命時間と言えますが、いくらこの寿命時間が長くても最終的には次の信頼度の公式から36.788%の確率でしか正常に稼働出来ない、言い換えればいくら寿命時間が長くても約63%の確率で故障すると言えます。
詳しくは、次の信頼度の章でご説明します。
5年信頼度(%)
信頼度の公式は、信頼度をRとして故障率をλ、MTTFをtとすると
R=e^(-λt)
120GBでCrucial製のSSDを例にして計算してみます。
平均故障寿命MTTF(時間)=1,500,000時間≒171.2年
故障率λ=1/171.2≒0.0000005841
R=e^(-(1/171.2)×5)≒0.97122=97.122%
となります。
平均故障寿命MTTF(時間)における最終信頼度
ここで、この平均故障寿命MTTF(時間)=1,500,000時間=171.2年間の信頼度を計算すると、平均故障寿命MTTF(時間)で述べた通り、最終的には36.788%に落ち着きます。
これは、
信頼度R=e^(-λt)=e^(-(1/171.2)×171.2)=e^(-1)≒0.36788=36.788%
と、eのべき乗根が(-1)になるからです。
eは、ネイピア数と言われ自然対数の底で、数値的には2.71828182845904523536…… となります。
ここでは簡易的に2.71828を使って計算しています。
逆数に元の数値を掛けるので、どんなに長くても全て1になりますので、平均故障寿命MTTF(年)における信頼度は全て36.788%になります。
どんなに平均故障寿命MTTF(時間)が長くても全てそのようになります。
今のSSDを100年も200年も使う訳がありませんが、数学的にはそのような話になります。
総書き込み可能容量TBW(TB)
総書き込み可能容量とは、言い換えれば書き込み耐性力とも言える数値で、どれ位のテラバイト数が書き込み出来るかと言うものです。
これは、1日の平均書き込み量から耐用年数が推定出来るものとも言えます。
例えば、先ほどのCrucial製120GBのSSDだとTBW=40TBなので、1日平均10GBの書き込み量があるとすると、耐用年数は単純に
40TB×1024(GB/TB)/10(GB/日)≒4096日≒11.2年となります。
信頼度コスパ(%/1000円)
信頼度コスパは、容量に反比例していますね。
容量が増えるほど、信頼度コスパは減少して行っています。
これは、信頼度が価格分に比例して上昇していないと言う事になります。
つまり、5年信頼度は各クラス共に97%台と頭打ちの状況だからです。
1TBクラスで唯一PLEXTORのSSDが98%台を出しているのみです。
信頼度コスパは、後の耐久性コスパと同様に結果数値が小数点以下になるため、1000を分子に掛けて数値を大きくして表現しています。
120GBでCrucial製のSSDを例にして計算してみます。
信頼度コスパ(%)=(97.122(%)×1000)/3,449円≒28.16(%/1000円)となります。
耐久性コスパ(TB/1000円)
耐久性コスパは、容量に比例していますね。
容量が倍になれば、耐久性コスパも倍になっています。
120GBでCrucial製のSSDを例にして計算してみます。
耐久性コスパ(%)=(40(TB)×1000)/3,449円≒11.60(TB/1000円)となります。
総合コスパ(1000円当たり)
総合コスパ=信頼度コスパ+耐久性コスパで、計算しています。
1TBクラスのCFD社のTBWが他メーカーと一桁違う数値なので、特異点としてこれを外して2位のSAMSUNGと比較しても総合コスパは500GBクラスが一番高いです。
クラス別の1位メーカーは、
- 120GBクラスは、Crucial
- 250GBクラスは、CFD
- 500GBクラスは、SAMSUNG
- 1TBクラスは、CFD
となりました。
容量別総合コスパ一覧表
メーカー名 | CFD | SAMSUNG | SAMSUNG | CFD | Crucial |
---|---|---|---|---|---|
容量 | 1TB | 1TB | 500GB | 250GB | 120GB |
総合コスパ (1000円当たり) | 112.39 | 49.04 | 49.76 | 38.25 | 39.76 |
まとめ
- 2021年現在、一般的な用途でのSSDのおすすめ容量は500GBクラスです
- 大容量、高解像度プログラムが多いゲーム用途では、1TBクラスがおすすめです
但し、本当に最低限のクラスとすれば250GBクラスも信頼性だけを見れば決して見劣りするどころか同等であり、価格も5~6,000円とリーズナブルです。
そしてネット、YOUTUBE視聴、Office程度の使用であれば、このクラスも捨てたものではないと思います。
しかし、後2,000円少々出せば500GBクラスが買えますから、微妙な所ですね。
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