筆者の自作TS録画用PCは2013年4月に製作したもので、TS録画のため24時間電源入れっ放しで、既に10年が経過しています。当初からシステムストレージにSSDを使っていましたが、2020年8月に空き容量が全体の容量120GBに対して1/4の30GB位になって来たので、特に問題はなかったのですがその点を考慮して240GBに容量UPし、システムクローンを行い換装しました。
その時、感じていた事はこのSSDの寿命ってどう判断したら良いのか、私はただ残容量の懸念から交換しましたが、後どれ位の寿命があったのだろうかという事でした。
そこで色々とリサーチした結果、SSDの寿命に関係する要素は、細かい事は他にもありますが、総書き込み可能容量TBW、記憶素子レベルセルのタイプ、不良セクタ数、空き容量、この四つだという結論が見えて来ました。
この記事ではそれらに関する内容を取りまとめていますが、寿命を決定する要素の前段にSSD寿命計算シュミレーターを設置していますので、是非ご自分のSSDの残り寿命を推定してみて下さい。
おおよその寿命年数
- SSDの寿命は、おおよそ5年から10年と言われています。
- 結論を言うと、あなたが使っている間に壊れることは、まずありません。
その根拠は、NANDフラッシュメモリの総書き込み量TBW(TB)×1024GB/1日当たりの平均書き込み量(GB/日)の計算式からおおよその寿命を推定しているからです。
例えば、総書き込み量70(TB)のSSDがあったとして、1日当たりの平均書き込み量(GB/日)が30(GB/日)と仮定すると、
70(TB)×1024(GB)/30(GB/日)=2389日
2389(日)/365(日/年)≒6.5年
と言う事が推定されます。
最近のSSDでは、200TBと言うのはざらですから、計算上は数10年単位となります。
SSDの寿命前に現れる症状
以下のような症状が現れた時は、SSDの寿命到来を覚悟した方が良いでしょう。
ちょっと難しくて何の事かになると思いますが、適当に読み飛ばして下さい。
- 不良セクタの増加傾向がある場合【CrystalDiskInfo の(05)と、(C5)】の「生の値」
この不良セクタの存在増加傾向は以下の処理速度の低下、起動エラーに大いに関係します。
ここから下は、皆さん誰でも感じられる事ですね。
- 処理速度の低下を感じる時
- 起動エラーの発生する時
- 突然のシャットダウンが起った時
- SSDドライブが認識不調
下の画像は、筆者のユーザーフォルダ用ドライブで、もう8年使っている使用時間23,000時間の3.5インチのHDDの【CrystalDiskInfo の(05)と、(C5)】の「生の値」です。
代替処理済のセクタ数が、「生の値」欄の16進数で「388」10進数換算で「904」個で、現在値「99」%の余裕があると言う事です。
「生の値」以外は、%表示です。
又、代替処理保留中のセクタ数は、幸いにも「0」ですが、代替処理済のセクタ数共々増加傾向となれば、交換時期と言えます。
筆者は、そろそろ交換しないとなあと思っているのですが、バックアップも取っているし、その内その内と思っている間にパンクするかも知れません。
SSD寿命計算シュミレーター
総書き込み可能量(ホスト)TBW(TB)、現在までの総書き込み量(ホスト)、累積使用時間(h)、累積使用日数を代入すれば、推定寿命年数が求められる計算シュミレーターです、ご参考になさって下さい。
TBW寿命計算例
下に筆者のCFD製240GBのSSDのTBWによる寿命推定計算結果を掲載しておきます。
後、7年少々です。
そこまで持っても、パソコンを取り巻く環境の変化がありますからね・・・
[CFD SSD CG Series]
CSSD-S6B240CG3VX という240GBのSATA接続SSDです。
仕様表
引用:CFD販売
[筆者240GB SSD CristalDiskInfo 状況]
「E7」残り寿命の生の値16進数「61」は、10進数に直すと「97」なので、「正常」と表示されている下の%数値が残り寿命を表していると推定されます。
残り寿命が、メーカー設定の97%残っていると言う意味に取れます。
[筆者240GB SSD寿命計算結果]
番号 計算式 項目 単位 数量
① 総書き込み量 TB 70
② 総書き込み量(ホスト) GB 6536
③ 累積使用時間 h 4807
④ 累計使用日数 日 270
⑤ ②/1024GB 総書き込み量(ホスト)TB換算 TB 6.38
⑥ ③/④ 1日の平均使用時間 h/日 17.8
⑦ ②/③ 1時間当たりの平均書き込み量 GB/h 1.36
⑧ ②/④ 1日当たりの平均書き込み量 GB/日 24.21
⑨ ⑧/1024GB 1日当たりの平均書き込み量 TB/日 0.0236
⑩ ①-⑤ 推定残TBW量 TB 63.62
⑪ ⑩/⑨ 推定寿命日数 日 2696
⑫ ⑪/365日 推定寿命年数 年 7.4
最低限に近いTBWの計算結果を示しました。
最近のSATA接続でTLCレベルセルのSSDでもTBWが1TBモデルで200TBもあり、高額製品では600~1200TBと、普通の使い方であれば、数10年単位となりほぼ故障やデータ損失の心配がないレベルと言えます。
次にSSDの寿命を決定する要素について紹介して行きます。
SSDの寿命要素
SSDの寿命要素は、下記のように様々な要素が絡み合って決まるので一概には言えませんが、おおよその目安としては、TBWからの推定寿命が端的で分かり易いです。
- TBW(総書き込み量)
- 記憶素子レベルセルの違いによる書き込み上限回数の違い
- CrystalDiskInfoの代替処理保留中のセクタ数(C5)の増え方
- 空き容量の多寡
TBW(Total Byte Written)とは、SSDに書き込み可能なデータ容量(単位TB:テラバイト)をTBWと称します。
記憶素子レベルセルの違いによる書き込み上限回数
NANDフラッシュメモリのタイプには、4種類の記録素子レベルセルがあります。
一番高速で、耐久性が高いのがSLCタイプで小容量高価格機となります。
一般的に普及しているのが、TLCタイプとなります。
最近では、大容量低価格を狙ったQLCタイプもあります。
[記憶素子別書き込み回数表]
記号 レベルセル名 書き込み上限 特徴
SLC シングルレベルセル 10万回 1つのセルに1bitの記録ができ、最も耐久性と価格が高い
MLC マルチプルレベルセル 1万回 1つのセルに2bitの記録ができるが、SLCより耐久性は下がる
TLC トリプルレベルセル 3000回 1つのセルに3bitの記録ができて、大容量化と経済的要素を併せ持つタイプ
QLC クアッドレベルセル 1000回 1つのセルに4bitの記録ができて、大容量低価格化が実現できるタイプ
- 記憶素子レベルセルは、SLCから順番に価格と耐久性が高い。
CrystalDiskInfoによる診断
HDDやSSDが持つ自己診断機能であるS.M.A.R.T.情報を確認して、代替処理済のセクタ数(05)と、代替処理保留中のセクタ数(C5)の増え方を見ます。
S.M.A.R.T.とは、「Self-Monitoring,Analysis and Reporting Technology」の略で、障害の早期発見・故障の予測を目的としてディスクドライブに搭載されている機能である。
引用:ウィキペディア
SATA接続のSSDのS.M.A.R.T.情報は、メーカーによって違いがあり一概に言えませんが、ここでは一番大事な2つのポイントのみを解説します。
代替処理済のセクタ数(05)
Reallocated Sectors Count(再割り当てセクタ数)と言います。
アロケート(allocate)とは「割り当てる」と言う意味で、リアロケートティド(Reallocated)ですから「再割り当てられた」Sectors Count「セクタ数」となります。
不具合が発生して読み書きが出来ず代替処理された不良セクタは、もう使われる事はありません。
- この(05)の「生の値」が(0)でなくても問題はありませんが、増加傾向は要注意です。
しかし、代替セクタ領域には限りがあり、その空き割合が「現在値%」です。
この不良セクタが発生した箇所は、不連続なセクタとなるので、データの読み書きが遅くなります。
この事から、
- 体感的に読み書きの速度が遅くなったと感じる時は、アナログ的な感覚として、寿命が近づいている時と考えて良いでしょう。
代替処理保留中のセクタ数(C5)
Current Pending Sector Count(現在保留中のセクター数)と言います。
データの読み出しが不安定なセクタの事で、代替処理すべきと判定されているセクタ数の事です。
読み出しに成功すれば代替領域にデータがコピーされます。
- データが読めず、代替処理保留中のペンディングセクタ(不良セクタ)の数(生の値)が増加傾向にある時は、交換を検討すべき時期です。
空き容量の多寡
NANDフラッシュメモリの書き込みは、ブロック単位で一旦空きスペースを確保してから行われます。
しかし、空き容量の割合が少ないと新たに書き込むブロックを捻出するための有効なデータのあるページのコピー転送先ブロックの確保に四苦八苦することになり、ガベージコレクション(Garbage Collection:GC)と言われるごみ集めの効率が悪化します。
それが、ひいては寿命に影響を及ぼすことになります。
平たく言えば、
- 空きスペースの余裕がないと、データの書き込みに四苦八苦して、非効率になり寿命にも影響しますよと、言う位の意味に捉えてもらえば結構だと思います。
データは、複数の記憶セルで構成される「ページ」という単位で書き込まれる。しかし消去は、複数のページで構成される、より大きな「ブロック」と言う単位でのみ可能となる。
もしあるブロック内のあるページのデータが不要になった場合(”stale”ページと呼ばれる)、そのブロック内の必要なデータがあるページのみ、他の消去済みブロックに転送(書込)される。
そして”stale”ページは転送(書込)されないため、転送先のブロックでフリーなページとして新しい別のデータを書き込むことができる。ここまでの処理を「ガベージコレクション(GC)」と呼ぶ。
引用:ウィキペディア
まとめ
SSDのおおよその寿命年数や、寿命前症状、寿命計算シュミレータ、寿命に影響する要素、などをご紹介しました。
概ね言える事は、最新のSSDはSATA接続にしろNVMe接続でも書き込み上限TBWが200TBを優に超えて、余程の事がない限り故障しないようになって来ているのが現実だと思います。
ただ、NVMe接続のM.2 SSDは、発熱量が大きく冷却フローをちゃんとしないと性能を発揮できないばかりか、耐久性にも影響します。
SSDが故障する前にCPUの世代交代、必要容量の変化などが先行して、寿命があるからと言っていつまでも使えるものではなくなることの方が先のような気がしますが、現状においてご参考になさって下さい。
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