自作PC CPUの選び方【2020】客観的選択方法による最高コスパな物の見つけ方!

パソコン

PCを自作する楽しみは、人によって様々だと思います。

私は組み立てるのも、もちろん楽しいですが、最大の楽しみは部品選びです。

実際に部品を購入する前に、メイン用途を考え、PCを構成する全ての部品の性能、品質、価格を調べて選択して行く楽しさは、既製品PCを買うのと又、違う楽しみがあります。

その中でもCPUは、日進月歩で毎年新製品がリリースされ、1年経てば前世代製品となります。
しかし、新製品と言っても前年製品のリフレッシュ版のような世代変更もあり、最新世代が必ずしも絶対優位とは限りません。

そこで、時代にとらわれない客観的な価値判断基準によるCPU選びをするためにはどうすれば良いかと考えた時、絶対的な性能値や、価格だけではなく単位円当たりの性能、即ちCPUの各ベンチマークスコア(3DMark、CR15Single、Multi等)を購入予定価格で割った1円当たりのコストパフォーマンススコアを出せば、客観的な判断基準が出来るのではないかと考えます。

そして、それらを合計した総合コストパフォーマンススコアを見れば、少し時代が変わっても、選択したグループの中で最良の価値判断が出来るのではないかと思います。

CPUの選択条件

先立つものは何とかで、まず予算が第一でしょう。
その中で、自分の絶対的な希望というのもある筈です。
それらを組み合わせて、3~4点の候補を選びその中でコストパフォーマンスの最高のものを選びましょうというのが、この記事の主旨です。

選択条件の大分類

選択条件には、大きく分けて次の3つがあると思います。

①購入予算
②個人の希望
③用途
などがあると思います。

コスパ計算をする前に、購入予算範囲内でどのようなCPUがあるかをイメージとして掴んでもらうために、予算範囲内でのオススメを紹介します。

予算別オススメCPU

予算は、大体
10,000~20,000円未満
20,000~30,000円未満
30,000~50,000円未満
など各人の予算範囲があると思います。

購入予算10,000~20,000円未満のオススメ

IntelであればCore i3、AMDであればRyzen 3か、5シリーズになって来るイメージですね。

Word、Excel、メール、ウェブブラウジング、YOU TUBE視聴くらいでしたら、このクラスで十分です。

このクラスで、CPUにグラフィックスが付いたオンボードのIntel Coreとなると、i3-12100がオススメです。

4コア8スレッドで、ソケットLGA1700。基本クロックは3.3GHz、最大クロックは4.3GHz、ベースクロックで動作時の電力指標PBPが60W、ブースト動作時の最大消費電力MTPは89W。


「インテル UHD グラフィックス 730」を搭載。最大解像度は7680×4320で、4画面同時出力もサポート。

マルチディスプレイは、Excelなどの横に長いセルの表を見る時に、非常に便利ですね。

i3-12100は、ネット、YouTube程度の軽い使用であればオンボードグラフィックスが付いているので、近年高騰しているグラフィックボードを買わなくて済みますから経済的だと思います。

AMDとなると、Ryzen 5 5600G がオススメです。

6コア12スレッドで動作、ソケットAM4対応CPU。基本クロックは3.9GHz、最大クロックは4.4GHz、TDP(熱設計電力)は65W。

グラフィックスはRadeon Graphics を搭載し、グラフィック性能は「インテル UHD グラフィックス 730」より優れます。

購入予算20,000~30,000円未満のオススメ

この予算範囲になると選択肢が増えますし、グラフィックボードに依存する所が大きいですが、ある程度ゲームにも対応できるようになります。

Intel であればCore i5、AMDであれば Ryzen 5シリーズが範囲に入って来ます。
まずは、Intel Coreとなるとi5-9500ですね。

6コア6スレッドで、ソケットLGA1151対応のデスクトップ向けCPU。基本クロックは3.0GHz、最大クロックは4.4GHz、TDPは65W。
「インテル UHD グラフィックス 630」を搭載。最大解像度は4096×2304で、3画面出力もサポート。

その他にもi5-9400、i5-9600と範囲内にありますが基本動作クロックの違いだけです。

AMDであればRyzen 5 2600ですね。

Ryzen 5 2600の価格は、大体15,000位まで下がって来ているので、価格帯で言えばこのランクではないのですが、オンボードGPUがないのでグラボを付ける必要性からこの価格帯に載せています。

Ryzen 5 には、3600という第3世代の新製品があり、性能もupしていますが価格差が10,000円強あり、コスパは圧倒的にRyzen 5 2600が良いです。

i5の2倍のスレッド数で圧倒的な優位性を誇っています。

6コア12スレッドで、ソケットAM4対応CPU。基本クロックは3.4GHzで、最大ブーストクロックは3.9GHz。TDPは65W。

グラフィックスは、付いていませんからクラボは要りますが、ここまでの性能に安物のグラボは似合わないでしょうから、RX570辺りを付けると合計30,000円少々とIntel i5-9500より5000~6000円高くなりますが、オンボードGPUのi5-9500とは全然別次元のパソコンになります。

それとも、オンボードのグラフィックス付きのRyzen 5 3400G辺りがコスパが高くオススメです。

4コア8スレッドで動作する、ソケットAM4対応CPU。基本クロックは3.7GHzで、最大ブーストクロックは4.2GHz、TDPは65W。
Radeon RX Vega 11 Graphicsを搭載。最大解像度は4096×2304で、3画面同時出力もサポート。

購入予算30,000~50,000円未満のオススメ

この予算範囲になって来ると、ゲーミングマシン向けの高性能CPUの範囲ですね。

Intel Coreとなるとi7-9700Kです。

8コア8スレッドで、ソケットLGA1151対応のデスクトップ向けCPU。基本クロックは3.6GHz、最大クロックは4.9GHz、TDPは95W。
「インテル UHD グラフィックス 630」を搭載。最大解像度は4096×2304で、3画面出力もサポートなのですが、第8世代まで実装されていた
「Hyper-Threading Technology」という1基のコアがOS上では2基のCPUコアとして認識させる技術が省略されてしまい、今回の8コアであれば16スレッドになる所を8スレッドになった訳です。

しかし、シングルコアが第8世代の6コアが8コアになったこと、最大クロック周波数が大幅にup(4.3→4.9GHz)したことなどにより、やはり第9世代のCPUを買っておいた方が良い思われます。

対抗するAMDであれば、Ryzen 7 3700X ですね。

8コア16スレッドで動作、ソケットAM4対応CPU。基本クロックは3.6GHzで、最大ブーストクロックは4.4GHz、TDPは65W。

Ryzen 7 2700X から各段の進歩をして、低消費電力でIntel i9-9900K並みの性能を発揮する恐ろしいCPUです。

ざっと、購入予算範囲内でのオススメして、おおよそのCPUのイメージを掴んで頂けたとおもうので、ここからは更に深く掘り下げてコストパフォーマンスの面でどのCPUがコスパが高くお買い得かを調べるコスパ計算に入って行きたいと思います。

①購入予算で選ぶ

購入予算範囲を設定してCPUをピックアップして、その中から最高コスパのものを選びます。

この章では、ご自分でコスパ計算される前に、その使い方について具体的にピックアップ例を示しながら計算機の使い方を説明したいと思います。

購入予算10,000~20,000円のピックアップ例

購入予算価格帯のピックアップのやり方は、参考例として価格.comさんの検索で可能です。

出典元:価格.com、2020年1月17日時点

Core i3 9100Fには、オンボードのグラフィックが無いので、NVIDIA GT 1030相当のグラフィックボード価格9,000円をCPU価格に上乗せして他のGPU付きと比較基準を合わせています。

CPU名称PassMarkスコア
CR15Single
CR15Multi
価格(円)
Core i3 9100F899017362918,328
Ryzen 3 2200G738013956211,480
Ryzen 3 3200G794215460412,580

購入予算10,000~20,000円の総合コスパ計算結果例

コスパ自動計算は、この例のように自分が買いたいCPUのメーカー、型番をドロップダウンリストから選択するだけで、総合コスパが計算されるようになっています。

総合コスパ計算の結果、この中ではRyzen 3 2200Gが最高コストパフォーマンスでした。

i3 9100Fは、良いCPUですがオンボードにGPUがないのがコスパ的に痛いですね。

又、Ryzen 3 3200GもRyzen 3 2200Gとほぼ同一コスパですから、1000円の差をどう見るかです。

CPU名称PassMarkスコア
コスパ
CR15Single
コスパ
CR15Multi
コスパ
総合コスパ
計算式⑤=①×10^3/④⑥=②×10^5/④⑦=③×10^4/④⑤+⑥+⑦
Core i3 9100F4919443431778
Ryzen 3 2200G64312114902344
Ryzen 3 3200G63112244802335
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【用語の説明】

PassMarkは、CPUの性能を評価したものです。
但し、CPU以外の構成部品や、BIOS、OSの違いによって変動がありますので、あくまで平均値です。

CR15Singleは、CPU1コアあたりのシングルスレッド性能を表します。

CR15Multiは、すべてのコアを含めたマルチスレッド性能を表します。
シングルスレッドとマルチスレッド性能のバランスが良いCPUが使い勝手が良いCPUと言えます。

②個人の希望で選ぶ

人間ですから、例えばINTELのi7の最新世代の物が欲しいとか、PassMarkスコアは絶対に10000点以上のものが欲しいとか、マルチスコアが800点以上であるとか、個人の絶対条件や願望はあると思います。
その場合も②の購入予算から始めたやり方と同様に

手順①希望の絶対数値近辺のCPUをピックアップして下さい。

手順②前と同様にピックアップしたCPUのPassMarkとCR15singleとMultiのスコアを調べて下さい。

手順③調べたスコアを下表に入れて、総合コスパが最高なものが、あなたが買うCPUです。

PassMarkスコアが10000点以上のピックアップ例

Ryzen 5 1500Xには、オンボードのグラフィックが無いので、NVIDIA GT 1030相当のグラフィックボード価格9,000円をCPU価格に上乗せして他のGPU付きと比較基準を合わせています。

CPU名称PassMarkスコア
CR15Single
CR15Multi
価格(円)
i7 77001091717587139,328
i5 86001161217299028,261
i5 84001172416394724,300
Ryzen 5 1500X1042615276023,347
Ryzen 5 3400G1006216787519,480

PassMarkスコアが10000点以上の計算結果例

この中では、Ryzen 5 3400Gが最高コストパフォーマンスでした。

CPU名称PassMarkスコア
コスパ
CR15Single
コスパ
CR15Multi
コスパ
総合コスパ
計算式⑤=①×10^3/④⑥=②×10^5/④⑦=③×10^4/④⑤+⑥+⑦
i7 7700278445221944
i5 86004116093501370
i5 84004826713901543
Ryzen 5 1500X4476513261424
Ryzen 5 3400G5178574491823

③用途で選ぶ

ゲーミングマシンのCPUを選びたいとか、いやゲームはやらないから一般的な使用範囲のマシンで良いからとか、用途別に大まかな分類は出来ると思います。まず、ゲーミングマシン用のCPUを選びたいとなった場合、一般的にはグラフィックボードに依存する割合が90%以上ありますので、CPUの依存度はそんなに高くないのですが、あまりCPUの性能が低いとそこがボトルネックとなります。

ゲーミングマシンを作りたい

手順①高ミッドレンジがハイエンドのCPUを選んでおけば後悔がないでしょう。

手順②ピックアップしたCPUのPassMarkとCR15singleとMultiのスコアを調べて下さい。

手順③調べたスコアを下表に入れて、総合コスパが最高なものが、あなたが買うCPUです。

ミットレンジのゲーミングマシンを想定したピックアップ例

CR15Multiスコアが1000~1500点のCPUをピックアップした例です。

オンボードのGPUでは、ゲーミングマシンになり得ないので、全CPU価格にGTX 1660Ti 30,000円相当を加算しています。

CPU名称PassMarkスコア
CR15Single
CR15Multi
価格(円)
i5 86001134816399058,261
i5 9600K13416202112756,290
i7 870015489192139069,980
Ryzen 5 1600X13351155121645,932
Ryzen 5 2600X14457173134747,028
Ryzen 5 260013442161127245,070
ミットレンジのゲーミングマシンを想定した計算結果例

この中では、Ryzen 5 2600Xが最高コストパフォーマンスでした。

CPU名称PassMarkスコア
コスパ
CR15Single
コスパ
CR15Multi
コスパ
総合コスパ
計算式⑤=①×10^3/④⑥=②×10^5/④⑦=③×10^4/④⑤+⑥+⑦
i5 8600195280170645
i5 9600K238359200797
i7 8700221274199694
Ryzen 5 1600X291337265893
Ryzen 5 2600X307368286961
Ryzen 5 2600298357282937
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ハイエンドのゲーミングマシンを想定したピックアップ例

CR15Multiスコアが1500点~2000点のCPUをピックアップした例です。

オンボードのGPUの有無に関わらず組合せグラボは、RTX 2080相当として80,000円を加算しています。

CPU名称PassMarkスコア
CR15Single
CR15Multi
価格(円)
Ryzen 7 270015354163153099,445
Ryzen 5 3600200361961576105,980
i7 9700K174142141548125480
i9 9900KF203702182108134600
ハイエンドのゲーミングマシンを想定した計算結果例

この中では、Ryzen 5 3600が最高コストパフォーマンスでした。

CPU名称PassMarkスコア
コスパ
CR15Single
コスパ
CR15Multi
コスパ
総合コスパ
計算式⑤=①×10^3/④⑥=②×10^5/④⑦=③×10^4/④⑤+⑥+⑦
Ryzen 7 2700154164154472
Ryzen 5 3600189185149523
i7 9700K139171123433
i9 9900KF151162157470

一般的な使用

手順①ローエンドは除外して低ミッドレンジか高ミッドレンジを選択しておけば問題ないでしょう。

手順②ピックアップしたCPUのPassMarkとCR15singleとMultiのスコアを調べて下さい。
手順③調べたスコアを下表に入れて、総合コスパが最高なものが、あなたが買うCPUです。

PassMarkスコアが8000前後、CR15Multiスコアが600前後のCPUのピックアップ例

i3 9100Fには、NVIDIA GT 1030相当のグラフィックボード価格9,000円をCPU価格に上乗せしています。

CPU名称PassMarkスコア
CR15Single
CR15Multi
価格(円)
i3 9100F899017362918,328
i3 8100795215158515,030
Ryzen 3 2200G738013956211,480
Ryzen 3 3200G794215460412,580
PassMarkスコアが8000前後、CR15Multiスコアが600前後の計算結果例

この中では、Ryzen 3 2200Gが最高コストパフォーマンスでした。

ただ、Ryzen 3 3200Gも同等のコスパでしたが、1000円高い分、負けという判定材料が出来るということです。

CPU名称PassMarkスコア
コスパ
CR15Single
コスパ
CR15Multi
コスパ
総合コスパ
計算式⑤=①×10^3/④⑥=②×10^5/④⑦=③×10^4/④⑤+⑥+⑦
i3 9100F4919443431778
i3 810052910053891923
Ryzen 3 2200G64312114902344
Ryzen 3 3200G63112244802335

 

以上が、コスパ自動計算機の使用例でした。

CPUのメーカー、型番だけを入力すれば各ベンチマークスコアは引用されますので、簡単にコスパ計算が出来ます。

ご自分の選択条件で何点かCPUをピックアップして、総合コスパが最高なものをお選び下さい。

CPUコスパ自動計算の手順

ここでは、コスパを自動計算します。
その手順は、

手順①その限られた予算の中で買えそうなCPUをまずピックアップして下さい。

手順②ピックアップしたCPUの購入価格を調べて下さい。

手順③何点か選択したCPUと、調べた価格を下表に入れて計算して、総合コスパが最高なものが、あなたが買うCPUです。

実際にコスパが計算できるフォームを用意したので、利用してみてください。

CPUのメーカーを指定

INTELかAMDを選択して下さい。

CPUを選択

CPUのメーカーを指定すると、型番を指定するドロップダウンリストが現れます。

ドロップダウンリストは、Pass Mark選択用、CINEBENCH R15 Single選択用、CINEBENCH R15 Multi選択用をそれぞれ同じ型番を指定して下さい。
計算式の都合で同じ型番を3回選択する必要があります。

その代わり、CPU型番をドロップダウンリストから指定すると、各ベンチマーク値を引数データから読み取り自動で記入されます。

中には、データがないものもあります、その節はご了承下さい。
又、データ作成時の時期の違いにより、CPU型番選択から得られる各ベンチマーク値と下表の計算例の値に違いがある場合があります。

購入価格を手入力

購入価格を入力すると、各コスパと総合コスパを自動計算します。

総合コストパフォーマンスの計算式について

各ベンチマークスコアの大きさには元々桁数の違いがあり、具体的にはPassMarkスコアは4桁から5桁、CR15Singleスコアは3桁、CR15Multiスコアは3桁から4桁とスコアの大きさが違い、合算した時のシェアがPassMarkスコアに偏るのでPassMarkスコアには10の3乗を、CR15Singleには10の5乗とCR15Multiスコアには10の4乗を乗じて総合コストパフォーマンスに対する比重差が出ないよう調整しています。

購入価格については、INTELのFタイプやRyzenのGなしやXなどのようなグラフィックスがオンボードで付属していないCPUには、グラフィックス付きのCPUと比較基準を合わせるため、使用用途に応じたグラフィックボードの平均価格を上乗せした価格で計算して下さい。

更に、ゲーミング用途ではオンボードのグラフィックスを使わないので、CPUに適合し、その時代に合ったグラフィックボードの価格を加算して下さい。

 

尚、Pass Markスコアについては、PassMark®Software Pty Ltd のCPUベンチマーク値を引用させていただいております。(承認申請中)

まとめ

自作PCのCPU選びは、PCの心臓部だけに慎重な選択が必要です。
一度買えば、CPUソケットやチップセットとの関係でコロコロ変える訳には行きません。

私ごとで恐縮ですが、私はいまだに7年前のi7 3770Sを大事に使っています。

CPUの客観的な選び方ということで、この記事を書かせて頂きましたが、相対的な数値だけでは計り知れないことがあるのも事実です。

ご予算に余裕がある方は、これに囚われず思い切って上位クラスのCPUを買われることもオススメします。

記事と矛盾しますが、時代が移っても「腐っても鯛」ということがありますからね。
その辺りの判断はご自由にどうぞお願いします。

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